| 研究概要 |
本研究課題ではまず,Nb-Al系のMG/MAによる組織制御により,各相の組織形態と体堆積分率の関係についての知見を得るとともに,延性相であるNb固溶体(Nb_<SS>)の機械的性質についても調査した.その過程で,合金組成の開発・検討含めてNb_<SS>の機械的性質の改善が室温靱性と高温強度の調和のために極めて重要であることが見出された.そこで,SiとAlの添加量によってNb_<SS>の性質を大きく変えられ,しかも高温まで組織の安定なin-situ compositeを形成するNb-Si-Al系を取り上げ,Nb_<SS>とNb_3AlおよびNb_5Si_3との2相および3相合金の靱性および強度を調べた.Si+Al量の減少により複合合金の構成相であるNb_<SS>の延性が増し,複合合金の弾塑性破壊靱性値は増すが,構成相であるNb_<SS>の強度の低下により平面ひずみ破壊靱性値は,Nb-SiおよびNb-A12元系合金よりもNb-Si-Al3元系3相合金で最も高くなること,また,高温強度の面でも,Nb-Si-Al3元系3相合金と平衡するNb_<SS>の高温強度が固溶強化により最も高くなり,その結果Nb-SiおよびNb-Al12系合金よりもNb-Si-Al3元系3相合金の高温強度が最も高くなることを見出した.さらに,靱性および耐酸化性改善に効果があると期待されるTiを取り上げ,Nb-Si-Al-Ti4元系におけるNb_<SS>+Nb_3Al+Nb_5Si_33相域の存在域とTi添加量との関係を調べ,Nb-Si-Al-Ti4元系Nb_<SS>+Nb_3Al+Nb_5Si_33相合金の室温靱性,高温強度および耐酸化性に及ぼすTi添加の効果を調べた.その結果,(1)Nb-Si-Al-Ti4元系において,Nb_<SS>+Nb_3Al+Nb_5Si_33相域は,Ti約20mol%添加まで存在すること,(2)Nb-Si-Al-Ti4元系のNb_<SS>+Nb_3Al+Nb_5Si_33相合金は,Ti添加によりNb-Si-Al3元系合金よりも室温靱性が向上し,K_<IC>値として約12MPa√<m>という値を示すとともに,高温強度は既存のNi基超合金をうわまわり,靱性と強度の調和がとれていること,(3)Nb-Si-Al-Ti4元系のNb_<SS>+Nb_3Al+Nb_5Si_33相合金の耐酸化性は,Ti量の増加とともに著しく改善されるが,既存のNi基超合金には及ばないことがわかった.
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