寸法15×10×2(mm)で、TiとAl比がほぼ1のTiAlの板状試料に、Ar、Al、Si、Cr、Nb、Moをイオン注入した。注入量は、Nbについては、10^<18>〜1.2×1.2×10^<21>ions・m^<-2>の4種類で、Cr.Arは1.2×10^<21>ions・m^<-2>他は10^<21>ions・m^<-2>である。これらの試料について、大気圧下の酸素雰囲気中、室温〜1200Kの範囲における繰り返し酸化試験を行った。さらに、所定時間酸化した試料を作成し、形成されたスケールの性状を、X線回折、EPMA.EDSなどで調査した。Arの注入は酸化を加速した。このことは、単なる格子欠陥の導入では、TiAlの耐酸化性が向上しないことを示している。AlあるいはSiの注入は、短時間は耐酸化性をある程度向上させるが、その後通常の酸化速度となる。AlよりSiのほうが効果が大きい。Crを注入すると、短時間の間は耐酸化性をある程度向上させるが、スケールはTiO_2とAl_2O_3の混合したものとなり、長時間保護性を維持できないNbを10^<20>およびl.2×10^<21>ions・m^<-2>注入すると、Al_2O_3を主体としたスケールが形成され、耐酸化性が非常に向上する。300サイクル(1080ks)後でもスケールは剥離しない。酸化前の試料では、注入されたNbは深さ〜50nmに濃化し、35at%近くに達していた。このNbの濃化が優れた耐酸化性をもたらしたと考えられる。これに対し、より少ないNb注入量では、スケールはTiO_2とAl_2O_3の混合したものとなり耐酸化性は向上しない。姉の濃化の程度が不十分であったと思われる。Moの注入はNb注入と同等の効果がある。
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