研究課題/領域番号 |
09650791
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
熊田 誠 山口大学, 工学部, 教授 (60284262)
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研究分担者 |
山田 隆裕 山口県工業技術センター, 応用化学部, 化学科長(研究職)
藤田 栄 NKK, 福山材料研究センター, 課長(研究職)
小渕 茂寿 山口大学, 工学部, 助手 (30225560)
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キーワード | 大気汚染 / 酸性雨 / 腐食 / 紫外線 / さび |
研究概要 |
(1)西日本地区における建造物・文化財の腐食の実態調査では、構造物・文化財のほか、最近深刻化している森林枯れについても調査した。文化財への影響については大阪府公害監視センターの辻野主任研究員からの聞き取り調査であるが、奈良東大寺大仏殿の国宝八角灯籠(銅に金メッキを施した金銅製)が、ごみ焼却によって発生する塩素系物質による腐食のほか、硫黄酸化物による酸性雨腐食を起こしている。森林枯れについては岡山県、広島県、山口県の主に高速道路沿いを調査した。その結果、岡山自動車道の有漢ICと高梁IC付近、山陽自動車道の広島県内の八幡PAから奥屋PAの間、沼田PAから大竹ICの間、山口県内の山口南IC付近で松枯れが激しい。広島大学総合科学部の中根周歩教授からの聞き取り調査では、酸性降下物が瀬戸内海側で松に付着していることが認められ、霧や夜霧に溶け込んだ大気汚染物質が松の光合成機能を低下させ、衰弱した松は松食い虫に侵され易くなる。(2)大気汚染物質の濃度の測定では、山口大学工学部、山口県秋芳町、日置町の3ヵ所で採取した雨水のpH測定を実施した。山口大学工学部ではpH4.38〜6.25、秋芳町ではpH4.72、日置町ではpH4.83〜5.79で、日本海側の日置町で採取した雨水の酸性化が顕著であった。(3)人工酸性雨による腐食試験では、炭素鋼の腐食に及ぼす太陽光照射の影響について検討した。太陽光の代わりに紫外線を照射し、照射しない場合と比較した。pH3.0〜4.0の人工酸性雨中での浸漬試験、電気化学測定試験(平成9年度化学研究費で購入した装置を使用)において、浸漬3日目から紫外線照射が腐食を促進した。腐食の促進はpH3.5の人工酸性雨の場合7日間浸漬で約25%増しであった。腐食の促進度合いは浸漬時間とともに大きくなった。さびの度合いが浸漬時間とともに増加することから、紫外線の腐食への影響は、さび(Fe_2O_3)の光触媒効果が考えられ、次年度もさらに検討する。
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