研究概要 |
配向組織を持つ結晶性材料の3次元配向情報を、高い空間分解能(目標≦1mm)で非破壊的に求める評価・解析法を開発するための基礎研究が行なわれ、つぎの成果を得た。 (1)3次元結晶配向X線トポグラフ測定装置の試作 先端材料の一つである一方向凝固共晶合金を対象として、その凝固組織の非破壊測定のために、金属単結晶の凝固一次組織の測定に開発された長隙ラウエ法による3次元結晶配向X線トポグラフ測定装置を改良して、新らしい機能を含む測定装置を試作した。 長隙スリット[(1段)長さ200mmX幅10mmX厚さ5mm,(2段)長さ100mX幅1mmX厚さ5mm]により平行に絞られた長隙白色X線ビームを試料に照射してえられた、長隙ラウエ回折像を写真フイルムによって記録・測定・解析する準備が進められた。 (2)試作装置による結晶配向組織情報の非破壊収集 凝固速度(100,300,500mm/min)を制御した条件下で、大野式Strip Casting(OSC)法で作成した板状アルミニウムを試料として用いた。凝固速度が遅い(100mm/min)試料からは、凝固方向に平行にのびたラウエ線条が明瞭に観察され、強い配向性の組織情報が非破壊的にえられた。凝固速度の増大に伴い、配向性の低下に対応する像の変化が観察された。材料内部の金属組織情報(破壊法)と一致する結果がえられた。 X線が透過する試料の厚さ方向を含む、3次元結晶配向評価法の開発のためにはBraggの法則に基づく回折条件の解析が必要であり、回折角、光子エネルギーの評価を含む、シンクロナイズ機構をもつマイクロスリット系の開発およびイメージングプレートシステムの開発が計画されている。弱い配向性の組織情報についえては、画像処理解析による測定でえられた特徴量と関連づけることが課題として示された。
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