マイクロ・スパッタリング技術を用いて、真空槽内の基板を直線的に移動させることで、連続して薄膜を形成するための研究を行った。基板にはスライドガラス、陰極(ターゲット)には、純度99.99%のAgを用い、到達圧力3x10^<-3>Pa以下、平衡アルゴンガス圧力3x10 ^<-2>Pa、印加電圧1.3kV、放電電流5mAの実験条件で、1回の薄膜形成時間2分で行った。陰極に設けたダクトのサイズを1.5mmX3mm、0.5mmX3mmとした場合に、それぞれ1.5mmずつ基板を移動させることで、30分の形成時間で、1.5mmX20mm、0.5mmXl7mmのAg薄膜ラインを形成することができた。ライン方向の膜厚分布は900Åとほぼ均一だった。これらの結果より、基板を直線移動させると、連続して薄膜を形成できることが確かめられた。続いて、マイクロ・スパッタリング技術のエッチングも連続して行えるかを検討した。基板には、単結晶シリコンを使用し、Ag陰極を用いて、1回のエッチングできるサイズを、100μmφ、25μmφのスポット径として、基板を回転させることで曲線のエッチングパターンが描けるかを試みた。実験条件は、到達圧力1x10^<-3>Pa以下、平衡アルゴンガス圧力4x10^<-2>Pa、印加電圧1kV、放電電流10mAで、基板は30秒ごとに移動させた。100μmφのスポット径の場合には、25分間のエッチング時間で、曲線長さ1000μm深さ0.5μm、25μmφのスポット径の場合には、曲線長さ192μm深さ0.1μm、とそれぞれほぼ均一にエッチングできることが確かめられた。今後はこれらの結果をもとに、エッチングを行いながら、そのエッチング面に薄膜形成を連続して行う研究を進める。
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