研究課題/領域番号 |
09650801
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長坂 徹也 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (30180467)
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研究分担者 |
日野 光兀 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (10091729)
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キーワード | 製鉄原料 / スラグ / 融液酸化物 / 酸化物系状態図 / 高炉操業 / ホールドアップ / 表面張力 / 製鉄技術 |
研究概要 |
世界的な良質鉄鉱石資源の枯渇に伴って、輸入鉱石中のアルミナや結晶水の含有量は最近増加の一途と辿っており、高アルミナ鉱石の使用に伴う高炉操業上の問題が既に顕在化している。一方、高炉下部における焼結鉱の被還元性は、還元過程で焼結鉱中に生成する酸化鉄系初期融液の性状に大きく影響されることが知られているが、初期融液の挙動とアルミナの関係については未だ不明である。本研究は、高炉下部における初期融液の生成、滴下、還元挙動とそれに及ぼす脈石成分の影響を系統的に解明し、高炉における高アルミナ鉱石の使用技術を確立するための基礎資料を得ることを目的とするものである。初年度である平成9年度においては、高炉における初期融液の挙動をシミュレートすることを目的に、鉄製、またはCaOやMgO製の漏斗からの酸化鉄系合成スラグの滴下実験を行った。Fe_tOとCaO-Al_2O_3-SiO_2系元系内にある4つの安定な化合物(2CaO・SiO_2、CaO・SiO_2、CaO・SiO_2・Al_2O_3、CaO・2SiO_2・Al_2O_3)を結んでできる5つの擬3元系を対象にし、漏斗からの滴下温度、滴下スラグ組成、共存固体酸化物相、及び融液の漏斗上へのホールドアップ率を調べ、Fe_tO濃度が20%の場合を中心に、スラグ組成との関係について検討した。この結果を踏まえて、平成10年度では、広いFe_tO濃度範囲において、スラグの滴下挙動と塩基度、Fe_tO濃度、Al_2O_3濃度の影響を明らかにした。その結果、漏斗からのスラグ融体の滴下が生じる温度は、スラグの融点よりかなり低く、ほぼ共晶温度と一致することが明らかとなった。また、スラグのホールドアップ率は、Fe_tO濃度一定では、塩基度が低い場合にはAl_2O_3濃度が高くなるとホールドアップ率は著しく大きくなる傾向が認められた。Fe_tO濃度が高い場合にはAl_2O_3の影響は顕著には現れない。またホールドアップ率はスラグの濡れでほぼ説明できることが分かり、初期融液挙動に及ぼすAl_2O_3の影響がほぼ解明できた。
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