研究概要 |
残留抵抗比(RRR)は高純度金属の純度評価法として有用であるが、各金属において微量不純物濃度を正確に分析した低純度から超高純度の試料を用い、純度(微量不純物濃度)の相違によるRRR値の相対的な変化を定量的に求めておく必要がある。本年度は、純度が異なる高純度コバルト(99.9〜99.999%以上)、クロム(99.995%以上)を作製し、RRR用試料の前処理条件(焼鈍条件等)を求めた後、コバルト、クロムのRRR値と純度(微量不純物濃度)との関係を検討した。 1.高純度Co,Crの作製:市販CoCl_2を原料に、高純度精製プロセス(イオン交換、電子ビーム溶解等)の有無により純度が異なる金属Co(99.9〜99.9995%以上)を得た。他方Crは、純Cr(99.995%)を原料に、水素プラズマ帯溶融精製を行い、特に酸素、窒素濃度が異なる高純度Crを作製した。 2.RRR用試料の作製:純度が異なるCo,Cr塊から線状試料(Co:約1mm^2x50mmL,Cr:約1mm^2x30mmL)を作製後、最適条件下で水素雰囲気焼鈍処理(Co:800℃-24h,Cr:1500℃-6h)を行った。 3.RRR測定:電圧,電流端子としてPt線を試料に取付け、四端子法で298Kと液体He(4.2K)温度で抵抗を測定し、RRR(R_<298K>/R_<4.2K>)値を求めた。 4.微量不純物分析:金属不純物濃度はGDMS分析で求め、酸素、窒素分析には不活性ガス融解法を用いた。 5.RRR値と純度(不純物濃度)との関係:Coの場合、Ni,Cu,Zn等の不純物の低減による純度の向上(99.96%→99.997%→99.9997%)に伴い、RRRは98→160→210と増加し、純度が1桁増す毎にRRR値が約50〜60増す結果を得た。一方、Cr(99.995%)では、(O+N)濃度の低減(250→<50ppm)に伴い、RRR値が180→240に増加す結果を得た。また、内部酸化(Ti,Al等の金属不純物の優先酸化-析出?)により、RRR値が600程度にまで増加する興味深い結果を得た。
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