研究概要 |
本研究は,アンモニア気流中で溶融金属がスプラッシュする現象を利用した金属微粒子製造法の開発を主目的とする.本実験では,銅合金をアンモニア気流中で溶解する実験を行ない,スプラッシュ発生速度(粒子製造速度)と粒子性状について調査した.銅合金としては,窒化物を生成しない系(銅-すず,銀,鉛)と窒化物生成が容易な系(銅-シリコン,アルミニウム,チタン,クロム)を大別して使用した.これまでに得られた知見を以下にまとめて記す. 1. スプラッシュ発生速度 (1) 窒化物を生成しない銅合金系でスプラッシュ現象が確認できた.窒化物生成が容易な銅合金系では試料表面に窒化膜が生成し,スプラッシュ現象が確認できなかった.しかし,窒化物生成が容易な銅-クロム合金では,温度1900K以上でスプラッシュの発生が認められた. (2) スプラッシュが発生する合金では,銅中の合金元素濃度が増大するとスプラッシュの発生速度は低下した. 2. 粒子性状 (1) スプラッシュにより得られた粒子は球形の金属であった.粒子は溶融母合金の合金濃度が小さい時は,単相でその組成は母合金のそれとほぼ等しかった.また,比較的大きな粒子には空洞が観察された. (2) 平均粒子径は合金濃度が増大すると大きくなった.また,平均粒子径はアンモニアガス吹き付けのランス先端と溶融合金表面との距離が増大すると大きくなった.
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