シリカのアルミニウム溶湯中でのテルミット反応は1223Kをピークとして、それ以上では大きく低下することが明かとなり、シリカとアルミニウム混合圧粉体による実験では、保持温度を1273Kとすることによって、撹拌を伴わないで、150μmのシリカ粒子が2μmから3μmのアルミナ粒子に微細化されることが明らかとなった。この温度以上でも、以下でもこのような微細化は起こらなかった。 これは、テルミット反応による鎖状に繋がった微細なアルミナの生成と、高温による独立球状化が、粒子表面から中心部へと順次進んでいくことによるものである。そして、この周辺部からの生成アルミナ相の微細遊離現象は、シリカの還元によってアルミナ相とともに生じたシリコン相が、順次粒子の表面からマトリックス液相への拡散することによって、固相アルミナの再配列が起こり、粗大化の過程で、球状に独立し、マトリックスへ遊離していくものと考えられる。 より、高温では、シリコンの拡散が速やかで、中心部でのアルミナ相の粗大化が進行し、粒子表面からの遊離の前に、内部でより粗大な塊状連結体に変化してしまうためであると考えられた。 この機構を利用し、150μmのぬれやすいシリカ粒子をアルミニウム溶湯に混入することによって、より大量の粒子分散スラリーを得ることができる、溶湯撹拌法による粗大シリカ粒子混合微細アルミナ粒子分散スラリーの作製の可能性が明らかとなった。
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