既に、造粒実験に用いた現有の装置に改良を加えて、バインダーを一切用いない造粒・コーティング実験を実施し、顆粒表面に薄い被膜を施したマイクロカプセルを製造するプロセスを開発することを目的として研究を着手するにあたり、装置寸法の決定が最優先課題であることがわかった。そこで、本年度は装置のサイズを変化できる二次元装置を製作して造粒実験を実施し、顆粒性状に及ぼす装置サイズの影響を調べた。以下に結果の概要について述べる。 1.実験装置及び実験条件:造粒実験はアクリル製テ-パ-付き二次元噴流層型流動層を使用した。流動層は奥行き10mm、テ-パ-角15°、ガス吹き込み口は一辺が10mmの正方形で、層幅は仕切り板の挿入により150mmから500mmまで変化可能である。ガス分散板には325メッシュのステンレス製の金網を用い、流動化ガスには空気を用いた。また、粉体試料には市販のコーンスターチ(平均粒径:12μm)を使用した。造粒実験は試料充填量、フリーボード部(層垂直部)ガス流速、操作時間、層幅を変化させて行う必要があるが、本年度は層幅(装置サイズ)の影響のみを調べた。得られる顆粒の粒度はふるい分けにより求めた。また、造粒実験終了後、層内から回収される顆粒の重量を試料の仕込み量で除した値を回収率と定義し、この値も求めた。 2.実験結果:(1)顆粒の平均粒径に及ぼす層幅の影響:フリーボード部のガス流速を一定に保った場合、得られる顆粒の粒度分布はいずれの層幅においても、対数正規分布に従うことがわかった。また、平均粒径は80μm-100μmで、層幅を140mmから500mmまで変化させると、わずかに増大する傾向がみられた。(2)回収率に及ぼす層幅の影響:層幅が増大すると、45μm以下の微小な顆粒のみの回収率が著しく減少することがわかった。 3.総括:上記(1)、(2)は、層幅の増大がガス出口におけるガス流速の増大を招くことにより、微小な顆粒の系外への飛び出しが促進されたためと考えられる。従って、顆粒粒径、回収率ともに装置サイズによらないことが示唆された。
|