研究概要 |
コーンスターチ、ラクトースを原料としてバインダーを一切用いない造粒・コーティング実験を実施し、コーンスターチ顆粒表面に薄いラクトース被膜を施したマイクロカプセルを製造するプロセスを開発することを目的として研究を着手したが、得られた顆粒の強度が十分でなく、コーティングを良好に行うことができなかったため、得られる顆粒の粒径、粒度分布、強度および収率と操作条件との関係、さらに顆粒の性状に及ぼす装置スケールの影響を解明することに重点を置いた。以下に結果の概要について述べる。 1. 実験装置及び実験条件:造粒実験はアクリル製テーパー付き二次元噴流層型流動層を使用した。流動層は奥行きl0mm、テーパー角15゚、ガス吹き込み口は一辺が10mmの正方形で、層幅は仕切り板の挿入により150mmから500mmまで可変である。ガス分散板には325メッシュのステンレス製の金網を用い、流動化ガスには空気を用いた。また、粉体試料にはアルミナ粒子(平均粒径:0.3μm,0.6μm,1.0μm)を使用した。造粒実験は試料充填量、フリーボード部及び入口部ガス流速、操作時間、層幅を変化させて行った。得られる顆粒の粒度はふるい分けにより求めた。また、造粒終了後、層内から回収される顆粒の重量より収率を求めた。 2. 結果:(1)得られた顆粒は球状で、その粒度分布は対数正規分布に従う。(2)層フリーボードにおける粒子の分級作用を利用して目的の粒子径以上の顆粒のみを回収できる。(3)良好な流動状態が確保できれば、試判充填量、ガス流速、層幅などの操作条件に関わらず、ほぼ同一性状の顆粒が得られる。(4)原料粒子径が大きい場合(1.0μm粒子)装置テーパ部分でチャネリングを起こしやすく、造粒が困難になりやすい。(5)顆粒のみかけの圧縮強度は操作条件の違いによる影響をほとんど受けず、顆粒径の増大とともに減少し、また、原料粒子径の減少とともに増大する。
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