両親媒性分子集合体中における化学反応誘起型構造形成について、(1)分子集合体/高分子混合系における平衡構造について研究した。ジドデシルメチルアンモニウムブロミド(DDAB)および(2エチルヘキシス)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)形成する逆ミセルにポリアクリル及びポリアリルアミンを溶解させたが、分子集合体はその幾何学的形状を本質的に変えることなく高分子を可溶化し、鋳型となる可能性を示した。(2)両親媒性分子濃厚条件下での重合反応による組織構造形成を、AOT-スチレン-水系の作る液晶相を用いて行った。スチレンを重合しても、重合前の逆ヘキサゴナル構造が保たれ、より強い骨格構造を作ることが分かった。更に、形成されるヘキサゴナル構造の円筒軸の配向が、AOT/キシレン-水系では電場により制御できることが見出された。(3)逆ミセル系におけるシリカの重合反応による組織形成を、DDAB/シクロヘキサン逆ミセルにテトラエトキシシラン(TEOS)を加えて実施した。塩酸酸性下ではシリカの一次粒子が形成されクラスターを作る。塩酸を中和すると、シリカの枝分かれのある棒状逆ミセルの径と一致するDDAB逆ミセルは鋳型の役割を果たしている。一方、アルカリ条件では、逆ミセル径よりずっと大きなシリカが形成され鋳型とはならなかった。(4)正ミセル系におけるシリカの重合反応による構造形成に関する研究を、ラウリルアミン(LA)/テトラエキトキシシラン(TEOS)系について行った。酸性条件でシリカのナノチューブが形成されること、更に、その形式過程を解明した。pH変化により種々の構造が形成され、それらはTEOSの反応速度及びLAの存在状態のpH依存性を考慮すれば理解できることを示した。また、ナノサイズの秩序構造体の形成には、油水の液液界面が本質的に重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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