低温基板面を付置した真空チャンバー内にベンゼン-シクロヘキサン混合蒸気を低流量で流入し、基板面を徐冷した場合、結晶核あるいは液滴核生成時に蒸気圧が急降下することに着目し、混合蒸気の臨界蒸気圧・温度を実測した。フィーダーから低温トラップに到るまでの通気流動に伴う蒸気圧変化についての考慮を含めた当混合蒸気の分離特性を評価する目的で管内径3mm、管長5〜100mmの5種類の円管の通気流動コンダクタンスを測定した。核化実験結果について古典核化理論、平衡熱力学に基づく検討、および核化実験と通気流動実験結果を併せ考慮して当混合蒸気からの非定常不均一核生成について古典核化理論に基づくシミュレーション解析を行い、以下の知見を得た。 1. 基板面温度-47〜0゚Cの条件下において、ベンゼン-シクロヘキサン混合蒸気の組成が各成分純粋蒸気に近い組成域で各成分の純粋結晶が生成し、中間組成域で混合液を生成する。ベンゼン-シクロヘキサン混合物は、低温低圧下において、気・液系では共沸系、気・固系では共晶系に属することが確認された。 2. 流れ機構が上流端から下流端に向かって顕著に変化すると考えられる上・下流端の圧力比P_1/P_2=2〜10の場合のコンダクタンスは同一の平均圧力P_<av>=(P_1+P_2)/2においてP_1/P_2が1に近い場合のそれよりも顕著に小さいことがわかった。 3. シミュレーション解析結果から、当混合蒸気から液滴生成への核生成は熱力学的に平衡条件下で起こることがわかった。
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