前年度に引き続き、実験的に回転磁場をモーターを使って実現することを種々試みたが、コイル自身の発熱ばかりが大きく、容器内のガリウムの回転は極めて微弱であった。これは6極コイルを使って三相で回転磁界を作ったところ、回転子とのごく狭い間隔において回転磁場が発生するが、結晶成長のための冷却容器をそこに設置せざるを得ないので、ほとんどの磁場が漏れてしまい、容器内ガリウムに適切に磁場回転が到達しないためであることが判明した。そこで2極コイルに逆に減らしたところ、ガリウムは見事に回転しはじめた。さらに、ルツボを水平方向に横切る永久磁石を回転台のうえにのせ、これをルツボの周囲で回転させることを現在試みており、この場合、極めて強い回転力を得られるものと期待できる。本研究では、回転磁場の一次元流れ場理論解析をスタート点として、初年度数値解を得、2、3年度において、この実験的検証を試みた。数値解析と同条件での検討までには至らなかったが、回転流を実験的に得ることに成功した。 以下は回転磁場実験装置のより詳細な実験仕様と結果である。ルツボ内径38.3mm、高さ85mm、パイレックスガラス製で、回転速度測定用の羽根を中心に設置した。ルツボは加熱用ジャケットで40℃の恒温に保たれている。外部こ磁場回転用の二極モータを設置した。実験流体はガリウムである。磁場回転周波数を30〜60Hzに変化させたところ、ほゞ比例的にガリウムの回転数が75〜270rpmへと増加することが確認された。また中心における磁場強度も10〜60Hzで6〜12mTへと線形に増加することが認められた。数値解析と同条件での実験を行うところまでには至らなかったが、回転流を実験的に得ることに成功し、今後の更なる展開への重要な足掛かりとなった。
|