本研究の平成9年度設備備品で購入したガスクロマトグラフ(GLサイエンス GC-390BDDTF(F))と冷凍機付き恒温水槽(トーマスTRL-N11)を用いて、精度良く、再現性のある無限希釈活量係数を系統的に測定した。始めに、装置の健全性を確認するために、データの豊富なヘキサデカン中のヘキサンの測定し、実験方法と実験装置の検証を行った。本装置を用いて、炭化水素(オクタン、テトラデカン、ヘキサデカン)中のアルコール類、エーテル類などの無限希釈活量係数を系統的に集積した。溶質としては、アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテルなど)をとりあげ、測定を10〜80℃で行った。さらに、追加の溶質として水、ジプロピルエーテルなど、溶媒として、水やアルコール(デカノールなど)の実験を計画中である(福地)。 理論解析については、一般に用いられるASOG式の適用を試みたところ、十分な精度で計算することができなかった。そこで、無限希釈活量係数の正確な推算を可能とするグループ寄与法を新たに開発した。問題とされている置換基の位置や分子全体の構造をも反映させたグループ寄与法を構築した。さらに、一般的な推算手法を確立する必要があり、現在引続き検討中である(荒井)。 研究成果は、炭化水素溶媒中の水、アルコール類およびエーテル類の測定ならびに相関を化学工学会(平成9年9月、10年3月)と高専シンポジウム(平成10年1月)に発表し、理論解析の一部を九州大学工学集報に発表した。また、平成10年7月にポルトガルのポルトで開催されるIUPACの化学熱力学国際会議に発表予定である。
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