研究概要 |
高オクタン価代替ガソリン基材としてのメチル-t-ブチルエーテル(MTBE),エチル-t-ブチルエーテル(ETBE)の合成化学反応プロセスへの浸透気化分離の適用を目的に、有機高分子膜素材および無機膜素材の透過物性を検討した.有機高分子膜素材としては耐熱性・耐溶剤性に優れたポリイミド膜を、無機膜素材としては分子ふるい能を有するゼオライトの膜化を検討し、それぞれのアルコール/有機溶媒系での浸透気化分離性能を評価した結果、Y型ゼオライト膜が優れた分離性能を有することが明らかとなった。次いでY型ゼオライト膜の最適製膜条件について検討し、水ガラスとアルミン酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムの水溶液をSiO_2/Al_2O_3=10,Na_2O/SiO_2=1.4,H_2O/Na_2O=60のモル比で室温で混合し、生じたアルミノシリケートゲルを1日エージング後、水熱合成用の反応管に仕込み、この中に表面に種結晶を仕込んだ管状多孔質アルミナ支持体を浸漬して、100℃で5時間、水熱合成したY型ゼオライト膜が、メタノール/MTBE、エタノール/ETBE系の浸透気化分離で最も優れたアルコール選択性を有することが明らかとなった。このY型ゼオライト膜の性能は、メタノール/MTBE系60℃で透過流束1.7kg/(m^2h)、分離係数5300とこれまで報告されている膜に比べて高透過高選択性であり、かつ分離性能は長期間安定であった。さらに膜の透過機構を検討するため、メタノール/MTBE、エタノール/ETBE系で透過物性の供給液濃度依存性および温度依存性を調べた結果、Y型ゼオライト膜の高アルコール選択性は膜へのアルコールの選択吸着によることが示唆された。
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