研究概要 |
高オクタン価代替ガソリン基材としてのメチル-t-ブチルエーテル(MTBE),エチル-t-ブチルエーテル(ETBE)の合成化学反応プロセスへの浸透気化分離の適用を目的に、前年度検肘した有機高分子膜および無機膜のなかで、特に優れた透過選択性を示したY型ゼオライト膜についてさらに詳細に製膜条件及び透過物性を検討した。先ずY型ゼオライト膜の最適製膜条件について再検討し、水ガラスとアルミン酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムの水溶液をSiO_〓/Al_〓O_〓=10,Na_〓O/Si0_〓l.4,H_2O/Na_2O=57のモル比で室温で混合し、生じたアルミノシリケートゲルを1日エージング後、水熱合成用の反応管に仕込み、この中に表面に種結晶を仕込んだ管状多孔質アルミナ支持体を浸漬して、100℃で5時間、水熱合成後、水浸漬して製膜したY型ゼオライト膜が、前年度に報告した膜に比べてメタノール/MTBE、エタノール/ETBE系の浸透気化分離で高いアルコール透過性を有することを明らかとした。この時生成するY型ゼオライトのSi/A1比は1.9であった。さらに、膜の製膜機構を検討するため、電子顕微鏡及びX線回折により膜表面の状態を詳細に検討した結果、膜形成は支持体表面でのゲルの形成と結晶核の発生および結晶成長からなることを明らかにした。一方、同じフォジャサイト属のX型(Si/A1比は1.3)についても製膜と透過物性を検討した結果、分離性能はより疎水性のY型ゼオライトが優れていることが明らかになった。以上、Y型ゼオライト膜が既報の膜に比べてメタノール/MTBEおよびエタノール/ETBE系の浸透気化分離に最適の膜性能を有することが明らかとなった。
|