本研究の目的は、「光電子放出帯電による半導体製造真空プロセスにおける微粒子除去技術」の実用化に必要な基礎データの集積にある。2つのタイプの「UV/光電子放出による微粒子帯電装置」を試作した。一つは光電子放出材にUVを照射し、放出された光電子により粒子を荷電する方法(光電子放出-拡散荷電装置)、もう一つはUV照射により粒子から光電子を放出させて帯電させる方法(直接光電子放出装置)である。それぞれの荷電装置について、減圧場における粒子帯電の数値シミュレーションと実験による評価を行った。「光電子放出-拡散荷電装置」のSiO_2粒子を用いた実験では、粒子は負に帯電し、UV強度、粒径の増加に対し、帯電量は僅かに増加した。また、本装置では、圧力が減少するにしたがい、帯電量が減少した。これら実験結果は数値解析結果と定量的に良く一致した。「直接光電子放出装置」では、粒子は正に帯電し、帯電量はUV強度と粒径の増加、圧力の減少により増加した。しかし、流量には影響されなかった。本装置の数値シミュレーションは、実験の定性的な傾向を説明できたが、定量的な一致は得られなかた。実験とシミュレーションの不一致の原因として、実際の粒子からの光電子放出量がシミュレーションで用いた値より小さい、あるいは、臨界ノズル(減圧容器への粒子の導入口)における粒子沈着がシミュレーションの値より大きいことが考えられる。SiO_2粒子の他にZnO粒子とCdS粒子についても帯電実験を行った。ZnOとCdS薄膜を用いた予備実験では、UV照射による光電子放出が確認された。ZnO粒子の実験結果は、UV強度、粒径、圧力の変化に対しSiO_2粒子と同様の結果を与えた。CdS粒子は、粒径が1場では、帯電量はUV強度および粒径の増加により増えた。
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