研究概要 |
ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、環境汚染物質の一つとして回収・貯蔵が義務づけられている。しかし,この物質の処理方法が確立されていなかったことから貯蔵容器が老朽化し,PCB溶液の漏洩が懸念されている。 そこで本研究では,太陽光照射場及び内部照射型光反応器を用いて,二酸化チタン微粒子光触媒によるPCB同族体の光分解特性について検討した。最初に,予備実験として太陽光照射場でのn-ヘキサン中のPCBの光分解を行った。その結果,12日で6塩素化体PCBが90%以上分解した。これから二酸化チタン光触媒を用いる方法がPCBの分解処理法の一つとして可能性のあることがわかった。次に,既存の設備である内部照射型光反応器を用いて絶縁油中PCBの光分解を行った。PCB中でも特に毒性が高いとされている6塩素化体PCBの経時変化を追跡した。酸素ガス供給時には6塩素化体PCB濃度が急激に増加し,その後減少した。しかし,窒素ガス供給時やガスを供給しなかった時には,このような急激な変化はみられなかった。これは,酸素ガスを供給することによって反応に直接関与するラジカル濃度が増大したためと考えられる。また,光照射することによって6塩素化体PCB濃度が増大しその後減少した原因は,各種塩素化体PCBの分解/生成速度の相違によるものと考えられる。 現在,今回購入した装置を用いてPCBの分解実験を行っている。また,二酸化チタン微粒子の代わりに薄膜を用いた実験についても検討している。
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