本研究では、地球環境改善のための高性能ゼオライト系脱硫触媒を開発・設計するために、ゼオライトおよびその関連物質に貴金属を担持した触媒を調製し、これらの触媒上での高沸点有機硫黄化合物であるチオフェンおよびベンゾチオフェンの水素化分解(脱硫)特性を検討した。 昨年度はゼオライトおよび層間架橋粘土化合物に白金(Pt)を担持した触媒上でのチオフェンの水素化分解(脱硫)反応性を検討したが、本年度は主としてメソ多孔体であるメソポーラスシリカ(MCM-41)担持白金触媒上でのチオフェン系有機硫黄化合物の水素化分解(脱硫)反応性を分光学的手法などを併用して詳細に検討した。 この結果、チオフェン系有機硫黄化合物はMCM-41表面上の酸点(シラノール基)と強く相互作用して活性化される。一方、水素は白金(Pt)上で活性化され、スピルオーバー水素を生成する。生成したスピルオーバー水素は酸点上で活性化されたチオフェン系有機硫黄化合物を攻撃するため、水素化分解(脱硫)反応が効率よく進行することが明らかとなった。
|