研究概要 |
本研究は,複雑な膜構造をもつグラム陰性細菌,Zymomonas mobilisのシグナルペプチド非依存型酵素分泌機構を明らかにするとともに,この酵素分泌機構を利用した有用酵素大量分泌系の構築を目的としている.本年度の成果を以下にまとめた。1)菌体外酵素分泌促進遺伝子(zliS)の機能解析:既にZ.mobilisの酵素分泌能欠損株を宿主として、分泌性を相補する遺伝子、zliSをクローン化している。先ず、他のグラム陰性細菌におけるzliSの機能発現の有無を大腸菌を用いて検討した。zliSはtacプロモタ-制御下で発現して、その大部分が大腸菌細胞膜に局在した。次に、zliS発現によるZ.mobilis由来のシグナルペプチド非依存型分泌酵素であるFructosyltransferase(FTase)やInvertase(IVase)遺伝子と共存させることによる分泌促進効果を検討した.FTaseやIVaseは大腸菌細胞内では分泌されないが、zliSの共発現により分泌促進が観察され、zliSが細胞膜に局在し、エキスポーターとして機能することが明らかとなった。2)分泌チャネル構成遺伝子のクローニング:既報の分泌チャンネル構成遺伝子はクラスターとしてコードされている。そのため、zliSはチャンネル遺伝子近傍にコードされていると考えられることから、現在、Z.mobilisのゲノムライブラリーに対し、zliSをプローブとして用いたスクリーニングを行なっている。
|