研究概要 |
生理活性を有するタンパク質やペプチドを分離・精製したり、利用するプロセスの性能に影響する、溶液中での分子の存在状態を認識し、間接的であっても溶質の状態の変化や微小クラスターの発生に起因するプロセスの性能の変化をより正確に、予測することを目的とし、前年度までに得られた知見を応用し、変性酵素のリフォルディングとバイオリアクターへの分離技術の高度な利用の可能性を検討した。 1,複数の酵素のリフォルディング リゾチームのリフォルディングで、有効であった半回分式をリボヌクレアーゼAのリフォルディングに適用したところ、同様に、回分式より再活性化率を向上させることができた。カラムクロマトグラフィーにおいて担体との平衡化や勾配溶出方法の検討により、カラム全体に吸着した再活性化したタンパク質を比較的狭い画分に濃縮、分離することができた。また、ニューラルネットワークによる吸着特性の予測も試みた。 2,二段階膜分離を付属する醗酵槽によるバイオポリマーの連続生産 Bacillus subtilisを培養しながら、Poly-γーGlutamic Acidを生産し、第1段目の精密ろ過で微生物を分解し、醗酵槽にリサイクルするとともに、第2段目の限外ろ過で生成ポリマーを分離、回収し、低分子基質は醗酵槽にリサイクルするシステムを運転した。その結果、培養期間が長期になると、精密ろ過膜上に菌の蓄積が生じ、ろ過性能が低下した。ろ過液をポンプで透過液側から阻止側へ短時間逆流させ、堆積した菌を剥離させることで透過流束、透過率が大きく改善されることがわかった。
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