研究概要 |
1.ガラス中熱処理分散CdSe,CdS 前年に引き続き、空気中溶解法によりGeO_2ガラス中に分散したCdSeまたはCdS超微結晶の作製を行った。その結果、超微結晶は拡散プロセスで形成されることが判明し、それらの活性化エネルギーは約1.1eV(CdSe)、0.35eV(CdS)と求まった。CdSeとCdSでは超微粒子の形成プロセスが異なっていることがわかった。 市販の半導体ドープガラス(CdS_<0.26>Se_<0.74>)を使用して、高速熱レンズ効果について検討を行った。その結果、1ps,30ps,300psの3種の緩和過程の存在が示され、それぞれトラップ準位への電子移動、無輻射再結合、輻射再結合に対応することがわかった。 2.フラクタル成長TiO_2電極 試料作製後の電圧印加処理効果について、前年に引き続き詳細な検討を行った。蛍光測定から、電圧印加処理によりトラップ準位が形成されている可能性が示された。光電流の増加は、このトラップ準位の形成が関与していると考えられる。光電流の変調周波数依存性から、電圧印加処理を行った試料では光応答性が向上すると共に、2つの応答プロセスがあることが判明した。CdS超微結晶を吸着した電極についても同様の検討を行った結果、光電流の可視光領域への拡大と信号強度の増加が見られると共に、速い光応答特性が得られた。 3.溶液中沈殿法 Mn不純物を含むZnS超微結晶(ZnS:Mn)の作製を溶液中沈殿法で行った。さらにアクリル酸とメタクリル酸添加のZnS:Mn超微結晶の作製も行い、あわせて光音響測定と蛍光測定による比較検討を行った。その結果、超微粒子化すると蛍光強度は増加するが、従来報告されていたアクリル酸とメタクリル酸添加による蛍光増大は観測されず、逆に光音響信号の増加が見られた。
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