研究課題/領域番号 |
09650888
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大谷 肇 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助教授 (50176921)
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研究分担者 |
青井 啓悟 名古屋大学, 農学部, 助教授 (30222467)
石田 康行 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70273266)
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キーワード | バイオマス / 生分解 / ハイブリッド材料 / キチン / ポリマーブレンド / 熱分解 |
研究概要 |
本年度は、プログラム昇温できる熱分解装置を、質量分析計ないしは原子発光検出器に直結したシステムを用いて、生分解性を有する代表的なバイオマスであるキチン質を基材とするハイブリッド材料の相溶性や相溶状態の解析を行った。ここでは、キチン質に対してポリオキサゾリンをグラフト化して合成したキチン誘導体に、ポリ塩化ビニルを様々な割合で混合したハイブリッド材料を対象とした。このハイブリッド材料の熱分解挙動は、基本的には基材ポリマーの熱分解を反映して、見かけ上3段階で熱分解反応が進行したが、詳細に検討するとその熱分解温度、熱分解生成物の種類、およびそれらの生成量は、ブレンドの相溶状態の違いを反映して微妙に変化しており、これらの観測結果からハイブリッド材料の相溶性を評価することができた。さらに、キチン誘導体単独の場合にはまだ熱分解反応が進行せず、本来はポリ塩化ヒニルの熱分解のみが進行しているはずの150℃前後の比較的低い温度領域で、すでに酢酸やアセトアミドなどのキチン誘導体を起源とする成分の生成が始まっていることが観測され、これがブレンド中の異種高分子間の相互作用を反映して、キチン誘導体の熱分解が誘起されていることに起因することが分かった。そして、これらの観測結果から、従来の予想とは異なって、この研究に用いた相溶系ハイブリッド材料では、キチン誘導体分子全体がポリ塩化ビニル相の中に取り込まれているほぼ完全な相溶状態を形成していることを明らかにした。
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