研究概要 |
1.塩基性金属酸化物上の活性種を利用するCL計測 (1)ルミノールCLに対して高効率な固相反応場として働く過酸化バリウムBaO_2のCL計測への応用を試みた。すなわち、BaO_2を詰めたフローセルを検出器として利用し、イソルミノール誘導体(ABEI)でラベル化したアミノ酸(アルギニン、グリシン)のキャピラリー電気泳動におけるCL検出、あるいはカルボン酸(胃薬中のウルソデオキシコール酸)のポストカラムCL検出に成功した。 (2)酸化バリウムBaOをペルオキソ-硫酸カリウム(KHSO_5)溶液、あるいは亜硝酸カリウムを含む過酸化水素溶液で処理すると活性種がそれぞれBaO上に生成し、安定に存在する。これらの固相反応場の活性をルミノールを用いて調べたところ未処理のBaOと比較して前者では80倍、後者では160倍強いCLを示した(ルミノールの検出下限はそれぞれ2x10^<-11>,8x10^<-11>M)。また、後者の固相反応場では核酸構成塩基に対して有効なCL反応場となることが判った(検出下限10^<-6>Mレベル)。更に、ESRスペクトル、反射スペクトル、及び化学的方法により活性種の同定を行い、前者の固相反応場には強酸化性活性種である硫酸イオンラジカル(SO_4^-)が、後者の固相反応場には二酸化窒素ラジカル(NO_2)がそれぞれ固定化されていることが確認された。 2.塩基性陰イオン交換樹脂を利用するCL計測 過酸化水素はモリブデン酸イオン(Mo0_4^<2->)触媒により分解し、一重項酸素^10_2を生成する。Mo0_4^<2->を強塩基性陰イオン交換樹脂に固定化し、生成する^10_2を酸化剤として利用するメラトニン(インドール化合物)のフロースルーCLセンサー素子の開発を試みた。メラトニンCLセンサーは高感度(検出下限は1x10^<-7>M)かつ直線性(10^3倍)のよい、安定した応答を示した。
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