研究概要 |
IVbおよびVb族であるジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)のアルコキシドをテトラエチルオルトシリケートと反応させるゾルゲル法により複合酸化物を調製し、その微細構造を主としてX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにより解析して、ヒドロペルオキシドを酸化剤とするオレフィン(1-オクテン)のエポキシ化反応とZr,Nb構造との関連を検討した。両者ともその濃度が小さい場合にはXAFSスペクトルのpre-edgeピークが大きく、対称性のよい6配位あるいはそれより高次の配位形態からずれた配位、おそらく4配位をとることが推察された。含量の増大につれて高次の配位状態が優先となった。エポキシ化活性は4配位構造をとる場合高く、6配位あるいはそれより高次配位ではほとんど活性が認められなかった。この結果は以前のチタンとシリカの複合酸化物中のチタンの挙動と同じ現象であり、配位数が少なくて配位座が空いている場合には反応の第一段階であるヒドロペルオキシドのZrあるいはNbへの配位が可能であり、活性が発現するものと推定された。なお、エポキシ化活性を示す配位不飽和の領域はチタンでは30モル%以下であるのに対して、Nbでは10モル%以下、Zrではわずかに1-2モル%以下であった。これはイオン半径の順であり、Zrのように大きなイオンは小さなシリカ骨格に取り込まれにくいためであると思われる。 さらに、ゾルゲル法以外に超微細粒径を持つエアロジルシリカを担体として、含浸法でチタン、Zr,Nb、タングステン、バナジウムを担持してその活性を調べた。これらの複合酸化物のエポキシ化活性はゾルゲル法で調製したものよりも高く、現在その微細構造を検討中である。
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