研究概要 |
マグネシウムやアルミニウム,希土類金属等の多価イオン金属種の電気化学過程を利用した電気化学エネルギー変換デバイス構築のための新規材料を創製することを目的として,本年度は以下の2課題について研究した。成果の一部は別記リストで報告したが,主要な結果を平成10年春開催予定の「電気化学会大会」ならびに「希土類討論会」で口頭発表する予定である。 1.非水媒体中でのMg^<2+>の電気化学的挙動解析とMg^<2+>イオン伝導性ポリマー電解質の作製 種々の極性有機溶媒中でのMg^<2+>の電気化学的挙動をサイクリックボルタンメトリー,ク-ロメトリー等により解析し,Mg/Mg^<2+>系に特有の高い過電圧の原因を調査した。Mg/Mg^<2+>電極系を電池等のデバイスに適用するには溶液系よりも固体電解質系の方が有利であるとの観点から,Mg^<2+>イオン伝導性ポリマー電解質の作製を試みた。ポリマーマトリックス構造,電解質塩の種類等,種々の構造パラメータを検討した結果,カチオン(Mg^<2+>)輸率はそれほど高くないものの,室温で5×10^<-4>Scm^<-1>の伝導度を示すポリマー電解質が得られた。 2.多価カチオン伝導性ポリマー電解質のイオン伝導機構の解明 ポリマー電解質中での多価カチオンの伝導挙動を明らかにするために,エチレンオキシドの繰り返しユニットで架橋したポリマーマトリックスに希土類(La,Ce,Y)塩を溶解分散した複合体を作製し,そのイオン構造を固体(ゲル)状態での蛍光スペクトル,ラマンスペクトル,NMR測定などから検討した。マトリックス中に適度な相互作用を持つ錯形成剤を共存させることで,塩のイオン解離が促進され,複合体が高いイオン伝導性を発現することを明らかにした。結果は希土類塩を溶解した有機溶媒溶液の物性と比較して考察した。
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