研究概要 |
マグネシウムや遷移金属,希土類金属等の多価イオン金属種の電気化学過程を利用した電気化学エネルギー変換デバイス構築のための材料設計とプロセス解析を行った。本年度は以下の2課題について研究を進めた。成果の一部は別記リストで報告したが,さらに平成11年度開催予定の「電気化学会大会」ならびに「第12回固体イオニクス国際会議」等で口頭発表する予定である。 1. 非水媒体中での1価,2価および3価陽イオンのイオン構造と伝導挙動の解明 種々の極性有機溶媒,極性官能基を有するポリマーマトリックスおよびポリマーゲル中でのMg^<2+>やLn^<3+>(Ln:希土類金属)のイオン構造を分光学的手法と電気化学的手法により解析した。それらのイオン伝導挙動をLi^+のそれと比較検討することにより多価金属イオンに特有な構造および輸送特性を抽出した。とりわけ,価数の異なる陽イオンが共存する系で特異的な伝導挙動が発現することを見出し,これが実用デバイスの材料設計に応用可能であることを明らかにした。 2. 非水媒体中における遷移金属複酸化物の酸化還元に及ぼす溶液イオン構造の影響 高エネルギー密度二次電池への応用のために,NiやMn等の遷移金属複酸化物の電気化学的酸化還元挙動に及ぼす非水電解質の組成(溶媒および電解質塩の種類)の影響を調査した。直流分極法と交流インピーダンス法の解析結果から,電解質組成は酸化物固体と非水電解質の界面で形成される「固体電解質相」の構造と物性に大きな影響を及ぼし,これが実用デバイスの設計に大きく関わることを明らかにした。
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