研究概要 |
小さな構成要素が自発的な相互作用によって高度な組織体を形成する自己組織化現象で得られる材料は、電子材料、光機能性材料、触媒、分離材料などとして従来に無い革新的な機能の発現が期待される。本研究ではアモルファス状の金属水酸化物と有機カルボン酸との反応から、有機-無機層状複合体を形成するという有機誘導体型の組織体形成反応について様々な観点から検討を行い、多くの知見を得た。自已組織化反応は、室温付近の比較的温和な条件で進行し、溶媒などの条件を選定することで、かなりかさ高い有機化合物も反応することを確認した。これらの反応ではCOO-金属結合が生成し、原料よりも熱的に安定な化合物の生成が確認された。XRDやIR,SEM・TEM等により組織体の結晶構造や複合体の形態等について詳細な検討を行い、得られた組織体が有機化合物の大きさ(種類)・反応量および溶剤の種類などによって板状あるいは繊維状形態を示す層状物質であることが分った。また、有機化合物と金属水酸化物との反応量によって板状の層状体から繊維状の層状体への変化が確認されるなど、自己組織化反応の機構が考察された。
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