本研究補助金ではホモジナイザーとマイクロスコープを購入し、昇温固化成形に関する基礎研究を行った。セラミックススラリーの流動特性に及ぼす固体含有率、分散剤の添加量、pH、温度などの影響を調べ、昇温固化成形の条件を検討した。以下は具体的な内容と得られた新たな知見である。 1.スラリーの調製及び特性評価 粉体にはアルミナ粉末、分散剤にはポリアクリル酸塩系分散剤を使用し、固体含有率25〜60Vol%、分散剤添加量0.5-3wt%、pH4〜11の範囲でスラリーを調製した。得られたスラリーの粘度を回転粘度計により温度20℃で測定した。本研究では低粘度かつ高い固体含有率(60Vol%)のスラリーが調整できた。以上のパラメータはスラリー粘度に著しい影響を与えることが明らかにされた。 2.スラリー流動特性の温度依存性 種々の条件で調製したスラリーを昇温させ、その粘度変化をその場測定した。粘度の温度敏感性は分散剤の添加量、正確には、吸着の被覆率で影響された。ある被覆率以下となる分散剤添加量では、スラリー粘度は温度の増加とともに急激に上がる。この臨界被覆率はスラリーの固体含有率の増加とともに高くなる。 3.昇温固化成形 以上の結果に基づいて、昇温固化成形に適切なスラリー条件を決定した。スラリーを本補助金で購入したホモジナイザーに入れ、攪拌しながら真空脱気を行った。脱気後のスラリーをプラスチック製容器に入れ、昇温固化させた。本補助金で購入したマイクロスコープを用いて脱型後の成形体の乾燥挙動を観察した。本方法によって高密度(64%)かつ亀裂なしの成形体が得られた。
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