研究概要 |
平成9年度にシュウ酸塩共沈法により希土類酸化物固溶セリアCe0.8R0.2O1.9(R=Yb,Y,Gd,Sm,Nd,La)を合成した。これらの酸化物粉体を一軸加圧(49MPa)+等方加圧(196MPa)により成形し、1600℃の焼結で相対密度98%以上の緻密な焼結体(5x5x30mm^3)を得た。焼結体のメディアン径は2〜7μmで希土類のイオン半径が大きいと大きくなった。また、いずれの希土類元素も粒子内に均一に固溶していること、粒界に非晶質あるいは第2相は存在しないことが確認され、イオン伝導体として好ましい組織であることがわかった。電極面を0.25μmダイヤモンドペーストで鏡面まで研磨し、電極面に白金ペーストを塗布し1300℃で30分間焼き付けた。乾燥空気中、300°・800℃で50℃おきに複素インピーダンスを交流二端子法(100Hz〜110MHz)により測定し、電気伝導度及び活性化エネルギーを求めた。複素インピーダンスプロットは連続した2つの半円で表わされた。原点側の半円より粒内,第2の半円より粒界中の酸素イオンの移動に関する抵抗を求め、粒内電導度、粒界電導度、試料全体の電導度を算出した。800℃での試料全体の電導度は6.7×10^<-2>2〜1.4×10^<-1>Scm^<-1>の範囲内にあり、固溶陽イオン種の影響は小さく、粒内電導度に支配されていた。酸素イオンの粒内拡散の活性化エネルギーは粒界拡散のものより低かった。Gd、Sm、Nd、Laを固溶したものの粒内拡散の活性化エネルギーは約80kJ/molであった。イオン半径の小さいYb、Yの固溶体では活性化エネルギーが大きくなった。電導度から計算した酸素イオンの自己拡散係数とトレーサー法の実測値は、Yの固溶体を除き一致した。このことは電気伝導が酸素イオンの拡散によるもので、酸素イオンの輸率が1に近いことを示している。来年度は低酸素雰囲気での電導度と酸素イオン輸率および力学物性を測定予定である。
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