研究課題/領域番号 |
09650937
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中辻 洋司 大阪大学, 工学部, 助教授 (00127268)
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研究分担者 |
木田 敏之 大阪大学, 工学部, 助手 (20234297)
池田 功 大阪大学, 工学部, 教授 (70029049)
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キーワード | 分子認識 / アルカリ金属イオン / 合成イオノホア / 錯形成能 / クラウンエーテル |
研究概要 |
本年度は、複数の認識サイトの共同効果により高度な分子認識を達成し得る新規人工イオノホアの基本骨格の開発を目的として、新規非環状三鎖型多座配位子であるトリポ-ドを合成し、アルカリ金属イオンに対する錯形成能を液液溶媒抽出、UVスペクトル変化に基づく均一系における錯安定度定数、液膜輸送などにより評価した。グリセロール単位を中心の基本骨格に有し、末端に剛直な3つのキノリン側鎖をもつトリポ-ドは、鎖長に応じて形成される空孔サイズに適合したカチオン選択性を示すことを見いだした。特に、最も短い鎖長の誘導体では、15-クラウン-5をはるかに上回る優れたナトリウムイオン選択性と錯形成能を示し、非環状多座配位子であったも適切な分子設計を施すことにより高度な識別能が達成できることが明かとなった。金属イオンへの錯形成能の向上に対するこのグリセロール骨格選択の重要性はC-ピボットラリアートエーテルの分子設計においても確かめられた。即ち、16-クラウン-5環のトリメチレン中央炭素上に二本の電子供与性側鎖をもつラリアートエーテルを新たに合成した。ここで、二本の側鎖の内一つは中央炭素に直接結合しており、今一つは炭素原子を一つ介して結合しているが、前者の側鎖が優先的にクラウン環に取り込まれたアルカリ金属イオンに配位することを見いだした。この場合、C-ピボット付近の構造はまさにグリセロール骨格を形成している。 また、二本の親油性側鎖をもつクラウンエーテル誘導体を設計、合成し、アルカリ金属イオン存在下での、空気-水界面でのπ-A変化を測定した。気液界面における当該イオンに対する錯形成挙動は、15-クラウン-5ではナトリウムイオン選択性、18-クラウン-6ではカリウムイオン選択性を示し、均一溶媒系よりはむしろ液液抽出系のそれに近いことを明らかにした。
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