研究概要 |
イットリウムアセチルアセトナートを含有するピッチ繊維を水蒸気賦活することにより、比表面積が大きくメソポア(ポアサイズ2〜50nm)が高度に発達した活性炭素繊維が得られることを平成9年度の研究において報告した。さらにアルミニウム及びチタンアセチルアセトナートを含有するピッチについて検討した結果、アルミニウム錯体を用いた場合、ミクロポア(ポアサイズ〜2nm)が高度に発達した活性炭素繊維が得られた。得られた活性炭素繊維への、分子サイズの大きい染料(Acid Blue 90,Direct Yellow 11)およびサイズの小さい染料(Acid Red 88,Acid Red 13,Basic Blue9)の吸着性を調べた結果、分子サイズの大きい染料はミクロポアが発達した活性炭素繊維に対してほとんど吸着しないにもかかわらず、イットリウムアセチルアセトナート含有ピッチから得られたメソポア活性炭素繊維にはよく吸着した。 メソポア活性炭素繊維を硝酸処理することにより、活性炭賦活時にイットリウムアセチルアセトナートから生成し、活性炭素繊維中に存在するY_2O_3は完全に溶出することが明らかになった。ところがこれに伴ない分子サイズの大きい染料(Acid Blue 90,Direct Yellow 11)のメソポア活性炭素繊維への吸着量が減少し、染料の吸着に活性炭素繊維のポアサイズと共に繊維中の金属酸化物粒子が効果を与えることが明らかになった。
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