本年度は、純物質から液晶ピッチを製造、その基本単位を解明するとともに基本単位構造の調節により物性が異なる多数の液晶ピッチの製造に成功した。一般的に溶融下で光学異方性を示す高分子物質溶融物性または伝熱機構は、分子集合単位のディメンションと形態に影響されることが知られている。液晶ピッチは、2次元の板状分子がVan der Waals力によって積層化した集合単位を有し、さらに溶融状態でもこの集合単位は大きさの変化はあるものの、なお存在することを明らかにした。 ナフタレン、メチルナフタレン、アントセラン等の純物質から製造した液晶ピッチまたはそれの混合ピッチの集合構造を溶融X-ray回折器、透過型電子顕微鏡を使用し、固体および溶融状態のLc(height of crystallite)とd002(画間間隔)の液晶ピッチの集合構造による違いを明らかにした。
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