研究概要 |
本研究は、フッ素の凝集作用を活かすことにより全く新しいタイプの分子集合体を構築させることを目的とし、特に、これらフッ素を有する集合体の興味深い機能を解明させ、フルオロアルキル基の凝集作用が効率よく発現されたフッ素系機能性材料としての新しい分野を構築させることを目的とし本研究を開始させた。 平成11年度の研究では、平成9年度および10年度の研究により得られたフッ素の凝集作用が活かされた新しいタイプの分子集合体の構築さらには多次元的な含フッ素分子集合体(ゲル)の生成およびこれら構造に関する研究成果の総括的な考察を行い、これらの成果は総合論文として、学術誌[有機合成化学協会誌、57巻、p291〜304(1999)およびJ.Fluorine Chem., vol.101,p315〜324(2000)]にそれぞれ発表を行った。さらに、これらフッ素系分子集合体をホスト場とした、金属イオン、親水性色素さらにはエイズウィルス等の種々のゲスト分子に対する興味深い認識能に関する知見の考察も併せて行い、従来のフッ素化学においては見られなかった新しいフッ素の凝集作用の効果を明確なものとさせることができた。 すなわち、これら研究成果は、本研究により見いだされた新しいフッ素系分子集合体が形成するホスト場は特定のゲスト分子のみを認識しうることを示唆するものであり、フッ素化学における新しいホスト-ゲスト化学のフィルドを開拓しうるものとして今後の研究が大いに期待される。
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