研究課題/領域番号 |
09650946
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
滝川 雄治 岩手大学, 工学部, 教授 (00003848)
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研究分担者 |
青柳 重信 岩手大学, 工学部, 助手 (90271840)
嶋田 和明 岩手大学, 工学部, 助教授 (10142887)
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キーワード | ジカルコゲナジアゾシン / ジカルコゲナゾリジン / 酸化反応 / 渡環作用 / 環状ポリカルコゲニド / ジカチオン / ペンタチアゾシン |
研究概要 |
2H、6H-テトラヒドロ-1、5、3、7-ジカルコゲナジアゾシンは1、5-位のカルコゲン原子が隣接した構造を有していることに着目し、酸化剤の作用による渡環反応を伴ったジカチオンの形成とその化学反応性を検討したものである。1、5、3、7-ジセレナジアゾシンに対するNBSやmCPBAなどの酸化剤の作用では、渡環反応を経て3H-ジヒドロ-1、2、4-ジセレナゾリジンを好収率で生成することを既に報告している。本研究では、同族元素である硫黄やテルル体に対する酸化剤の検討を行い、これら1、5、3、7-ジカルコゲナジアゾシンの化学反応性と構造の関係を明かにすることを目的としている。 硫黄体である2H、6H-テトラヒドロ-1、5、3、7-ジチアジアゾシンと臭素との反応に加え、新たにNBSや塩化硫黄との反応を検討した。その結果、NBSとの反応は6H-ジヒドロ-1、2、3、4、5、7-ペンタチアゾシンの収率は低いものであったが、酸化的性質を有する硫黄化試剤である塩化硫黄との反応ではその収率は著しく向上した。一方、テルル体である2H、6H-テトラヒドロ-1、5、3、7-ジテルラジアゾシンはジクロロメタン中、空気または酸素とも容易に室温で反応し、セレン体と同様の化合物である3H-ジヒドロ-1、2、4-テルラゾリジンを好収率で与えた。また、その他の酸化剤を用いた場合は-78℃という極めて穏和な条件で効率よく生成物を与えた。 このように、基質に用いた2H、6H-テトラヒドロ-1、5、3、7-ジカルコゲナジアゾシンとの酸化反応では、硫黄体とセレンおよびテルル体では全く異なる生成物を与えた。この結果はセレン体、テルル体が渡環相互作用によるジカチオンの形成を経て、3H-ジヒドロ-1、2、4-カルコゲナゾリジンを生成することを示唆しているのに対し、硫黄体では、段階的反応を経て、6H-ジヒドロ-1、2、3、4、5、7-ペンタチアゾシンを生成すると推定された。
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