研究概要 |
新しい合成法の開発、あるいは従来の反応の再検討による反応機構の解明など、広範囲にパラジウム触媒反応を検討し,多様なパラジウム触媒による有機合成反応の体系化をめざした。 1 2-ブチン-1,4-ジオールとその誘導体を、エタノール中でパラジウム-ホスフィン系 触媒でカルボニル化した。クロロギ酸エチルから得られる炭酸エステルを用いると、1段階で、ビス(メチレン)ブタン二酸エチルが容易に得られることを明らかにした。 2 ヘテロ環で置換された2-ブチン-1,4-ジオール誘導体を、ベンゼン中で酢酸パラジウム-ヨウ素系触媒でカルボニル化して、それぞれのメチレン炭素にヘテロ環をもち、フォトクロミズムを示すフルギドを合成した。 3 パラジウムカチオン触媒、および銅触媒を用いてエチレンと一酸化炭素、およびスチレンと一酸化炭素の共重合反応を調べ、得られたポリマーの構造を熱分解-ガスクロマトグラフで分析し、いずれも完全な交互共重合体であることを明らかにした。 4 ビス-π-アリルパラジウムのamphiphilicな性質から、ビス-π-アリルパラジウムを中間体とする中性条件下のプロ求核剤のアリル化、およびブタジエンのテロメル化と環化共二量化を再検討し、その反応機構を明らかにした。 5 Heck反応により、エチレンとバロアレーンから、スチレン、スチルベン誘導体、および各種ポリ(フェニレンビニレン)類を合成した。
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