金属やセラミックスの複合材料を主に傾斜機能材料の研究が進んでいる。本研究では高分子材料に分子レベルでの傾斜機能をもたせる意図で、スターポリマーの腕にガラス転移温度(Tg)に関する傾斜機能をもたせたスター共重合体の合成法を確立する。また高分岐なトポロジーからなるスター型ポリマーが自己組織化により単分子ミセルを形成し、球構造の階層的超格子変化の構造特性を明らかにすることを目的にした。 1.傾斜構造からなるスター型共重合体の合成と溶液特性 アニオン逐次成長法によりイソプレン(I)、ステレン(S)/IかつSと3段階に成長(r_1=0.25、r_2=9.5)させテ-パ-ドブロックアニオンを合成、これを腕としてジビニルベンゼン(DVB)とのベンゼン中での核形成共重合よりスター型傾斜構造体を合成した(腕数f=19〜289、PS 44.1mol%)。次にベンゼン中での静的、動的光散乱測定を行い、形態と拡がりおよび粒径について検討した。その結果、傾斜構造からなるスター共重合体はブロッブモデルで表されるセグメント密度に関して傾斜構造をとっていることがわかった。 2.格子形成 SAXS測定から溶液から固体に至る構造解析を行った結果、C^*濃度付近で体心立方構造を発現することがわかった。また腕数67までのスターではこの構造が固体膜ではラメラ構造に転移する。腕数が200を越えると単分子ミセルの大きさで固体膜でも球構造を保持することが明らかとなった。
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