スチレンやイソプレンのアニオンリビングポリマーとメトキシメチル基を有する親電子試薬を反応させることで、ポリマー鎖末端や任意の位置に複数個のメトキシメチル基の導入に成功した。このようにして得られたポリマーをBC1_3で処理することで、定量的にメトキシメチル基をクロロメチル基に変換した。次に高反応性のクロロメチル基にやや過剰の別のアニオンリビングポリマーを反応させると、効率良くカップリング反応が進行して、クロロメチル基の数だけ、枝ポリマーが導入される。このカップリング反応で用いるリビングポリマーの分子量を変えたり、別種のアニオンリビングポリマーを使用すると、枝の長さが異なった特殊な形のポリマーやヘテロアームを有する分枝ポリマーが合成可能となる。このように、まずアニオンに安定なメトキシメチル基で目的ポリマーの分子設計をした後、反応性の高いクロロメチル基に変換し、次の反応を行うため、従来全く合成されていない新規の分枝ポリマーを得ることが出来ることが、本研究で展開する合成法の大きな特長である。 以上の合成法を基にして、構造が明確であり、枝ポリマーの分子量が規制され、分子量分布が極めて狭い(Mw/Mn<1.05)、3本鎖、4本鎖、5本鎖、6本鎖の星型ポリマー、及びH型ポリマーの合成に成功した。またクロロメチル基部分に親水性の大きな糖誘導体を導入することにも成功した。現在、この方法の新たな展開による枝ポリマーの位置と本数が制御されたグラフト共重合体や櫛型ポリマーの合成、及び枝ポリマーとして親水性のポリマーの導入を検討しているところである。
|