研究課題/領域番号 |
09650977
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
伊藤 恵啓 信州大学, 繊維学部, 助教授 (70151553)
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研究分担者 |
阿部 康次 信州大学, 繊維学部, 助教授 (00126658)
小嶋 政信 信州大学, 農学部, 助教授 (20153538)
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キーワード | ベンジル基 / 光分解性ポリマー / 光分解 / 光分解機構 / 界面活性剤 / 紫外光 |
研究概要 |
紫外光で効率良く分解し、かつ容易に既存ポリマーや界面活性剤に導入できる光分解性官能基の探索を目的として、種々のベンジルエステル及びそれらを有するポリマーを合成した。これらエステルの光分解反応を調べ、以下のことを明らかにした: 1.メチル基、メトキシ基等の置換基を導入したナフチルメチル及びベンジルエステルのメタノール中の光分解生成物を分析し、エステル結合のまわりの立体障害が大きくなると分解率は低下するが生成物分布をある程度制御できること、ベンゼン環にメトキシ基を導入すると分解率、生成物の選択性が共に大きく向上することを明らかにした。これらの知見を基に、芳香族メチルエステルの光分解反応を統一的に解釈可能な機構を提案した。 2.上記官能基を側鎖に含むポリマーの溶液中での光反応では、側鎖の分解だけでなく主鎖分裂が非常に効率よく起こること、分解生成物が低分子系と大きく異なることがわかった。一方、キャストフィルムの分解性は著しく低下した。現在、分解性の向上のための条件を探索すると共に主鎖型ポリマーの合成を検討中である。 3.ベンジルアンモニウム構造を有する界面活性剤、ポリマーがメタノール及び水中で高い光分解性を示した。また、芳香族ハロゲン化物の共存下での光反応を予備的に調べた結果、ハロゲン化物が容易に誘発分解されることがわかった。今後、分解機構の解明と共に水中における有害有機物質の分解への応用を検討する。 なお、1の結果については、学会(口頭発表3件、内2件は発表予定)、学術雑誌(投稿中1編、準備中1編)に発表あるいは近日中に発表予定である。来年度は、より高分解性・高選択性のベンジル誘導体の探索を続けると共に、光分解性ポリマー・界面活性剤へ応用展開していく予定である。
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