研究概要 |
エトキシ、フェニノキシ、t-ブトキシ基などのアルコキシ基を有する7,7-ジシアノ-8,8-アルコキシカルボニルキノジメタンは重合性が高く、室温で結晶として単離できなかった。環状構造としてメルドラム酸単位を導入したp-キノジメタン(1)は4段階の反応で全収率34%でオレンジ色針状結晶として得ることができた。1(+0.13V)はTCNQ(+0.16V)に近い電子受容性を有していた。1はAIBN,BuLi,Et_3N開始剤で単独重合したが、BF_3・ET_4O開始剤では単独重合しなかった。1はVAcとMMAとは共重合しなかったが、電子供与性の大きいスチレンとは共重合し、CHCl_3,THF,acetoneに可溶な分子量30000-90000の白色粉末固体を生成した。スチレンとの共重合は交互共重合であった。 7-アルコキシカルボニル-7-シアノキノンメチド(2)Me,Bu,iPr,sBuの重合動力学を検討した。重合は典型的な平衡重合挙動であった。線形自由エネルギー関係による重合のエンタルピー変化を解析し、重合性がアルコキシ置換基の立体効果により決定されることが明らかになった。7-メトキシカルボニル-7-シアノキノンメチド(2a)とスチレンとの共重合を2aの平衡モノマー濃度以上と以下で検討した。共重合様式はランダム型から交互型へ変化した。この様式の変化は2aの平衡重合性との関係で説明出来ることが明らかになった。
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