一連のポリエーテル/塩ハイブリッドを合成し、イオン伝導度を評価し、結果をフィードバックさせて、より高性能のイオン伝導性ポリエーテル/塩ハイブリッドの設計につなげた。 まず、ハイブリッド末端の解離基として、スルホンイミド残基の優位性を明確にできたので、これらの中から最も高性能を引き出せる構造を決定した。その結果、トリフルオロメチルスルホンイミド基が最適であるとの結論に達した。また、ハイブリッド塩に高解離性低分子塩を添加すると、イオン伝導度を数倍改善できた。また、ハイブリッド塩はアモルファス塩として眺められることから、末端で溶融塩構造を形成させることによる、さらなる改善を試みたところ、極めて良好なイオン伝導度が得られた。それをもとに、有機溶融塩型高分子の合成を試み、スルホンイミド塩構造を側鎖に有する高分子にイミダゾール塩を作用させて溶融塩としたものが優れた特性を発現した。 次に、イオン伝導性高分子中でのヘムタンパク質の電気化学的な反応を解析した。ポリエーテルで修飾したヘムタンパク質はポリエーテルに可溶となり、幅広い温度域で電子移動が可能であった。130度でも電子移動可能な系も見つかり、ヘムタンパク質の電気化学反応に耐熱性を付与することができた。電極界面に固定したヘムタンパク質は吸着変性し、電気化学的に不活性となるが、これを抑止するために電極表面にポリエーテルを単分子被覆した。電子移動は被覆ポリエーテル鎖長に大きく依存し、短鎖ほど大きな電流値が観測された。これらにより、ポリエーテル中でヘムタンパク質の効率的な電子移動が可能になった。
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