ポリマーアロイ中の高次構造制御方法確立を最終目的として、結晶性ー非晶性2元ブロック共重合体系での結晶化による高次構造再配列(ミクロ相分離構造→ラメラくり返し構造)過程と最終高次構造を種々の手法を用いて調べた。また、ミクロ相分離構造を利用した様々な結晶化により、系中に形成する高次構造制御を試みた。 一般にポリマーアロイ中では、成分鎖の結晶化による高次構造形成の駆動力は大きく、この結晶化を利用して高次構造を設計することは極めてむづかしい。そこで、結晶化前に存在するブロック共重合体自身の作るミクロ相分離構造に着目し、この構造の安定性を変化させて引き続く結晶化の制御を試みた。本年度行った研究概要を以下に具体的に記述する。 (1)化学的架橋を系中に導入してミクロ相分離構造を完全に固定し、この安定な構造内で結晶化を行い、その高次構造を解明した。 (2)非晶性ブロック鎖に高ガラス転移温度を持つ成分を導入し、ガラス化を利用してミクロ相分離構造の安定性を変化させた。結晶化により形成する高次構造を、ガラス化による鎖の運動性と関連づけて議論した。 (3)高分子量の結晶性ー非晶性2元ブロック共重合体を用いることにより、熱力学的に安定なミクロ相分離構造を作るとともに、系中に鎖の「からみ合い効果」を導入した。このような系での結晶化による最終高次構造を明らかにした。 いずれの場合も、結晶化によって独特な高次構造の形成が確認でき、結晶化を利用したポリマーアロイの高次構造制御方法確立に対する足掛かりが得られた。
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