研究概要 |
ポリマー表面を構成するポリマー分子鎖は、内部にあるポリマー分子鎖と環境を異にしている。そのため表面のポリマー分子のガラス転移温度は低く、自由体積が大きく、運動性に富んでいる。本研究は、空気中の疎水性環境から水中のように親水性環境へ変化に伴ってによって表面に存在するポリマー分子鎖が配向を変化し、その結果ポリマー表面の特性がすることを表面改質法を開発することを目的としている。 昨年度は、疎水性表面を示すポリテトラフルオロエチレン(テフロン)を対象試料とし,、親水性であるビニルスルフォン酸をグラフト重合し、表面改質法を検討した。本年度は、芳香族ポリアミドを対象試料とし、グリシジイルメタクリレート(GMA)をグラフト重合する表面改質法を検討した。アルゴンプラズマ照射によって芳香族ポリアミド表面にグラフト重合のサイトとなるバーオキサイド基を形成し、そのサイトからGMAをグラフとさせた。グラフト重合による表面表面改質の状態は、その表面のXPSスペクトルから追及し、芳香族ポリアミドフィルム表面の31-40%がGMAで覆われたことが判明した。この表面は、エポキシ接着剤との密着性に改善がみられ、接着強度が2.7倍増加した。したがって、GMAのグラフト重合によって改質した表面は、エポキシ樹脂と強く相互作用する表面である。 なお、本研究の詳細は、Journal of Applied Polymer Science,vol.69,pp.1179-1185 (1998)に発表した。
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