研究概要 |
末端構造がメタクリレート型のポリスチレンマクロモノマーをリビングアニオン重合法で大量合成し、これをラジカル単独重合して高密度多分岐ポリマーとしてのポリマクロモノマーを合成した。また、分岐密度を変える目的で、メタクリル酸メチルとのランダム共重合を行い、さらにスチレンとの交互共重合性について検討した。これらの試料のうち、枝分子量が数平均で2740、枝本数397本、全体の重量平均分子量1,372,000、Mw/Mn=1.61のポリマクロモノマーおよびMMAと等モルのランダム共重合体(見かけの分子量でMw=176,000、Mw/Mn=1.61)、および直鎖ポリスチレン(Mw=382,000、Mw/Mn=1.20)について、平行円板型レオメーターを用いて、温度140-220℃、周波数0.016-16.7Hzに変化させて粘弾性(レオロジー特性)の測定を行った。その結果、多分岐ポリマーのせん断貯蔵弾性率G'および損失弾性率G"は、直鎖ポリスチレンに比べ、同じ温度、周波数で低い値を示した。また、時間-温度の重ね合わせ後の基準温度でのマスター曲線から、多分岐ポリマーでは、単独重合体のみならずMMAとの等モル共重合体においても、直鎖状ポリスチレンとは異なり、ゴム状平坦領域を持たず、ガラス転移に続いて直ちに流動領域に入ることを見出した。これは、直鎖ポリマーに一般的に見られる分子鎖間の絡み合いの現象が、高密度多分岐ポリマーの導入によって著しく抑制されたためと結論された。現在さらに、分別試料について、分岐長、分岐密度との関係、ならびに凝集構造との関連について調べ、直鎖型ポリマーと比較し検討している。
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