末端構造がメタクリレート型のポリスチレンマクロモノマーをリビングアニオン重合法で大量合成し、これを種々の条件でラジカル単独重合することにより高密度多分岐ポリマーとしてのポリマクロモノマーPoly(MA-PSt)を合成した。また、メタクリル酸メチルとのランダム共重合を行い、分岐密度の異なる多分岐ポリマーPoly[MMA-co-(MA-PSt)]を合成した。これらの多分岐ポリマーについて、平行円板型レオメーターを用いて、温度140-220℃、周波数0.016-16.7Hzに変化させて粘弾性(レオロジー特性)の測定を行い、分岐構造がバルク特性の一つとして重要なレオロジー特性にどのように影響するか検討した。また、比較のために単分散の直鎖ポリスチレンの合成も行い、同一条件でレオロジー特性の測定を行った。ポリマクロモノマーでは、直鎖状ポリスチレンとは異なり、ゴム状平坦領域を持たず、ガラス転移領域に続いて流動領域に入ることが分かった。また、すべての領域でG^<11>がG^1よりも大きくなっており、高密度多分岐構造のため分子鎖間の絡み合いが存在しないkことがわかった。この傾向は、枝分子量が同じで、枝本数2545本(幹鎖の重合度2545)のポリマクロモノマーPoly(MA-PSt2740)-2545においても見られた。また、マスターカーブの低周波流動領域で、G^1が角振動数ωの2乗、G^<11>がωの1乗に比例して低下する領域へ入る周波数から最大緩和時間を見積もり、この値およびゼロせん断粘度の分子量依存性を分子論の観点から検討した。一方、MMAとの共重合で分岐密度を低下させた多分岐ポリマーでは、ある分岐密度から分子間の絡み合いによるゴム状平坦部が出現することが分かった。これらの結果は、測定試料の脆性とよく対応した。以上の結果より、多分岐ポリマーのレオロジー特性が、ポリマーの分岐構造によって系統的に変化することが明らかとなった。
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