研究概要 |
1. 多鎖型カリックス[4]レゾルシナレン系両親媒性化合物の合成と染色助剤としての効果 長鎖アルキル基を有するカリックスレゾルシナレンにカルボキシメチル基を導入した化合物[4]ArAc-Rn(n=6,8,12)を合成し,アントラキノン系分散染料KPRの染色における助剤としての効果を調べた。ナイロン布の染色において,cmcの30分の1濃度の[4]ArAc-R6および[4]ArAc-R8を加えると初期染色速度が増大し,5時間後の染着率は95℃にてそれぞれ1.7,2.4倍,60℃にて3.0,3.7倍となった。比較として用いた単鎖型化合物MAc-R6では助剤としての効果は低かった。セルロースアセテートの場合も[4]ArAc-Rnによる染着率の増大が認められ,その度合いはナイロンと同様[4]ArAc-R8が[4]ArAc-R6より大きかった。ポリエステルでは120℃の染色の際助剤効果が認められたが95℃では低かった。助剤の吸着率を調べると,いずれの繊維も[4]ArAc-R6がMAc-R6より高かった。ナイロンにおけるKPRの吸着等温線が異なることから,[4]ArAc-R6とMAc-R6の助剤効果は機構が異なることが示唆された。 2. テロマー系多鎖型界面活性剤の合成 1-ドデカンチオール中で2-ビニルピリジンのラジカル重合を行って重合度5-20のテロマーを合成し,ハロゲン化ドデシルで4級化した。得られた化合物の水溶液の表面張力はpH2で32-33mNm^<-1>で,cmcはドデシル基の導入数とともに低下した。トルエンの乳化はドデシル基数が4個程度がもっとも性能が良かった。重合度11の4級化テロマーは重合度20の4級化テロマーよりも界面活性能がすぐれていた。本テロマーとカリックス[4]レゾルシナレン系両親媒性化合物との複合系で油溶性アゾ色素の水溶液への可溶化を検討したところ,2:1錯体の形で可溶化していると推定された。
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