研究概要 |
1.多鎖型カリックス[4]レゾルシナレン系両親媒性化合物の合成と染色助剤としての効果 長鎖アルキル基を有するカリックスレゾルシナレンにカルボキシメチル基を導入した化合物[4]Ar-Rn(Ac)(n=6,8,12)を合成した。これら化合物のナイロンへの吸着量は単鎖化合物M-Rn(Ac)の3.5倍となった。アントラキノン系分散染料KPRのナイロン染色における助剤としての効果を調べたところ,染着量は[4]Ar-Rn(Ac)がM-Rn(Ac)より高かった。60分後の染着量は助剤濃度とともに増大したが,平衡染着量は助剤濃度によらず一定であった。換言すると,[4]Ar-Rn(Ac)は初期染着速度を増大させている。60分後の染着率は助剤濃度0.1g/1のとき[4]Ar-R6(Ac)>[4]Ar-R12(Ac)>M-R12(Ac)>M-R6(Ac)の順となった。染着速度は助剤濃度とともに増大した。染色温度95℃および75℃で[4]Ar-Rn(Ac)を用いるとM-Rn(Ac)や市販分散剤Disp-TLと比較して染着量は多くなったが,95℃では[4]Ar-Rn(Ac)の鎖長による差はほとんど見られなかった。60℃ではどの助剤を用いても染着率への効果は見られなかった。 2.テロマー型界面活性剤の合成と染色助剤への応用 アルキルチオールもしくは2-アミノエタンチオールをテローゲンにアクリル酸およびアルキルアクリル酸をタクソーゲンとするテロマーをラジカル重合で合成した。アルキル鎖として2-エチルへキシル基を2-3本有するテロマー水溶液の表面張力は27-30mNm^<-1>であった。これらテロマーは水-トルエン界面界面張力を低下させ,安定なO/W型エマルションを形成させた。染色助剤としての効果を調べると,アルキル鎖長8のものが優れた性能を示した。
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