研究概要 |
1.4本の疎水基を有するカリックス[4]レゾルシナレンの合成と有機化合物の可溶化 レゾルシノールとアルデヒド類より長鎖アルキル基,フェニル基,ナフチル基を有するカリックスレゾルシンを合成した。これら化合物はアルカリ性水溶液にて界面配向性にすぐれ,高級アルコール,ベンゼン,トルエンなどの有機化合物の高い可溶化能を示した。染料も可溶化され,包接錯体形成が示唆された。 2.4本の疎水基を有するカリックス[4]レゾルシナレンの染色助剤としての効果 カリックス[4]レゾルシナレンをリン酸エステルに誘導した。本物質は中性水溶液に可溶であり,ナイロン,セルロースアセテートの分散染色助剤としての性能を検討したところ,市販助剤よりも高い染着率が得られ,均染性にもすぐれていた。さらにカルボキシメチル基を導入した化合物を合成し,ナイロンおよびセルロースアセテート染色の助剤効果を調べたところ,初期染色時間が相当する単鎖化合物よりも増大することを認めた。ポリエステルでは120℃で染色促進が認められたが,95℃では効果が低かった。助剤の構造との関係を調べたところ,繊維への吸着率が高く,染料の分散性が高いものが染色促進効果が高いことが判明した。 3.テロマー系界面活性剤の合成と染色助剤への応用 2-ビニルベンゼンテロマーのN-アルキル四級化物ならびにアクリル酸-アルキルアクリル酸コテロマーを合成した。これら化合物は界面活性能が優れ,分散染色助剤としての効果が認められた。テロマー構造と染色性との関係解明が今後の課題である。
|