研究概要 |
人工衛星の大型化や高機能化あるいは宇宙ステーション計画などに伴い,エネルギ源として高効率・大規模化したソーラーアレイは,軽量で剛性が小さく,固有振動数が低い.本研究では,種々のソーラーアレイ構造を対象として,ふく射加熱による熱負荷の下での,熱弾性連成応答を予測する手法の確立を目的とした.本年度は,まず大型の柔軟宇宙構造物であるソーラーアレイを,張力を受けて安定化された膜と,この張力を支持するために圧縮荷重を負担するはり構造とでモデル化し,その座屈特性,固有振動特性を解析的な手法で明らかにした.構造の基本的な特徴を見失うことがないように配慮した上で,出来るだけ簡略化したモデル化を行い,ソーラーアレイ構造全体としての座屈荷重や固有振動数に関する特性方程式を解析的に定式化し,座屈モードや振動モードについても同時に解析解を導出した.このような手法は構造材料の選択に伴う物性値の変更や,幾何学的な寸法の変化に対して,容易に対応することができ,また各種パラメータが及ぼす影響についても,その本質を見極めることが可能で,ソーラーアレイの力学的な特性を明らかにするため,極めて有効な手法であると考えられる.さらに,これらの理論解析の妥当性を検証するために,実験室規模で実施可能な実験システムを設計,製作した.実験モデルはロールブランケット型のソーラーアレイを模擬したもので,座屈荷重および座屈モード,固有振動数および固有振動モードの計測に関して予備的な試験を実施し,結果の一部は理論解析に基づいた計算値と比較して解析の妥当性や実験・計測システムの有効性について検討を加えた.
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